そもそも設備施工管理とは?【未経験でも分かる全体像】
「今の仕事を一生続けるのは、体力的にキツい…」と感じていませんか。設備施工管理は、そんなあなたのためのキャリアです。ここでは、あなたの現場経験を武器に変えるこの仕事の全体像を、未経験の方でも分かるように解説します。
現場の職人や建築施工管理との違い
まず、あなたにとって一番身近な「職人」と「施工管理」の違いからお話ししますね。一言でいえば、「プレイヤー」から「監督・司令塔」に変わるということです。
職種 | 詳細 |
---|---|
職人 | 自分の専門技術を使い、手を動かしてモノを「作る」プロフェッショナル。 |
施工管理 | 工事全体を見渡し、職人さんたちが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、人・モノ・金・時間を「管理する」プロフェッショナル。 |
あなたはこれまで、監督の指示を受けて作業を進めてきたと思います。今度はあなたが、その経験を活かして「的確な指示を出す側」になるのです。また、建物全体の骨格から内装まで、すべてを管理する「建築施工管理」と違い、「設備施工管理」は、より専門性の高い分野に特化します。
主な仕事は建物の「空調・電気・水道」などを管理すること
では、何の専門家になるのか?それが、建物にとっての「ライフライン(生命線)」です。
主な仕事内容 | 詳細 |
---|---|
空調設備 | 人々が快適に過ごすためのエアコンや換気扇 |
電気設備 | 照明を灯し、機械を動かすための電気配線やコンセント |
給排水衛生設備 | 毎日の生活に欠かせない水道やトイレ |
これらがなければ、どんなに立派な建物もただの箱に過ぎません。設備施工管理は、建物に命を吹き込み、人々がそこで安全・快適に活動できるようにする、非常に社会貢献度の高い仕事です。
あなたが手がけた建物で、あなたの娘さんが将来、笑顔で過ごす日が来るかもしれない。そう考えると、ワクワクしませんか?
【4大管理】仕事の基本となる4つの柱(工程・安全・品質・原価)
施工管理の仕事には、大きく分けて4つの大事な役割があります。少し難しく聞こえるかもしれませんが、一つひとつ見ていけば大丈夫ですよ。あなたが現場で見てきた「監督の仕事」そのものです。
主な役割 | 詳細 |
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工程管理 (スケジュール管理) | 工事を納期通りに終わらせるための、現場の「段取り」です。職人さんたちの手配、資材の搬入タイミングなどを調整し、工事全体のスケジュールを管理します。現場を知るあなたなら、無理のない、効率的な計画が立てられるはずです。 |
安全管理 (リスク管理) | 共に働く仲間の「命綱」となる、何よりも大切な仕事です。危険な箇所はないかパトロールしたり、朝礼で注意を呼びかけたりして、現場の事故を未然に防ぎます。危険を肌で知っているあなたの経験が、最も活きる部分です。 |
品質管理 (クオリティ管理) | 建物が設計図通り、寸分の狂いもなく作られているかを確認する、プロとしての「プライド」が試される仕事です。決められた基準を満たしているかチェックし、写真などで記録を残します。「良いモノをつくる」という職人としての気持ちが、そのまま活かせます。 |
原価管理(コスト管理) | 工事にかかる材料費や人件費を計算し、赤字にならないように管理する、会社の「金庫番」のような役割です。会社の利益に直結するため、経営的な視点も身につきます。 |
【設備別】設備施工管理の仕事内容

設備施工管理の仕事は、担当する設備によって専門分野が分かれています。ここでは代表的な6つの設備工事を紹介します。どの分野が自分の興味や経験に合っているか、考えながら読んでみてください。
電気設備
建物に電気を供給するための配線や照明、コンセントなどを設置する工事を管理します。現代の建物に不可欠なエネルギーを司る、非常に需要の高い仕事です。
配管設備
水道やガス、排水など、人々の生活に欠かせないライフラインの配管工事を管理します。衛生的な環境を支える重要な役割を担います。もしあなたが配管工の経験者なら、その知識がダイレクトに活かせます。
空調設備
エアコンや換気扇などを設置し、快適な室内環境を作るための工事を管理します。商業施設やオフィスビルなど、あらゆる建物で必須となるため、安定したニーズが見込める分野です。
通信設備
インターネット回線や電話線、防犯カメラといった情報通信インフラの工事を管理します。私たちの生活に欠かせなくなったIT社会を支える、今後も成長が期待される分野です。
機械設備
エレベーターやエスカレーター、立体駐車場など、建物内のさまざまな機械の設置工事を管理します。大規模な商業施設やプラントなどで活躍の場が広がっています。
消防設備
スプリンクラーや火災報知器、消火栓など、万が一の火災から人々の命を守るための消防設備の工事を管理します。法律で設置が義務付けられており、社会的な責任とやりがいが非常に大きい仕事です。
【年収】設備施工管理の平均年収は550万円!年代別の給与モデルと収入UPのコツ

キャリアチェンジを考える上で、やはりお金の話は重要ですよね。ここでは、設備施工管理のリアルな年収モデルと、あなたの頑張り次第でさらに収入を上げていくための具体的な方法を解説します。
20代~50代の年代別・平均年収モデル
企業規模や地域によって差はありますが、一般的な年収の目安は以下の通りです。
年代 | 平均年収 |
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20代(未経験~) | 350万円~450万円 |
30代 | 450万円~650万円 |
40代 | 550万円~750万円 |
50代(管理職クラス) | 700万円~ |
今のあなたの年収と比べていかがでしょうか。30代のあなたなら、経験を積むことで年収600万円以上を目指すことは十分に現実的です。そうなれば、娘さんの習い事や、年に一度の家族旅行も、もっと選択肢が広がるはずです。
資格取得が年収UPへの最短ルート
施工管理技士などの国家資格は、あなたの市場価値を大きく高めます。多くの会社では、資格を持っているだけで数万円の資格手当が毎月支給されます。
さらに、資格があれば昇進にも繋がりやすく、基本給も上がっていきます。努力が給料という分かりやすい形で報われる、これが技術職の大きな魅力です。
大手企業や元請けへの転職でさらなる高みへ
数年の経験と資格を手に入れれば、より待遇の良い大手ゼネコンやサブコン、元請け企業へのキャリアアップも夢ではありません。そうした企業では福利厚生も手厚く、安定した環境で働きながら、年収1,000万円以上を目指す道も開けています。
就職・転職前に知っておきたい、正直きついと言われる3つの理由

良い面だけでなく、厳しい側面も正直にお伝えします。就職・転職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、なぜ「きつい」と言われるのか、具体的な理由を理解しておきましょう。
理由① 覚えることが多く、常に勉強が必要
専門知識や関連法規、新しい工法など、職人時代とは違う種類の知識を常に勉強し続ける必要があります。正直、楽ではありません。

前職は異業種だったため、入社後はとにかく覚えることの多さに圧倒されました。空調や給排水、消防設備など、担当範囲が広い上に、建築基準法や消防法といった関連法規も常にアップデートされます。また、省エネ技術の進歩も早く、新しい製品や工法についていくために、休日にメーカーの勉強会に参加したり、管工事施工管理技士の資格取得に向けて勉強したりと、プライベートの時間も自己投資に充てることが多いです。正直、楽な仕事ではありませんが、自分の知識がそのまま現場の品質に直結するので、責任感とやりがいは大きいです。自分が設計図通りに納めた設備が問題なく稼働した時は、この仕事をやっていて良かったと心から思います。
【乗り越え方】 でも、これはあなたが「技術者」から「管理者」へ、そして「専門家」へと成長している証です。現場で毎日、新しい技術を見て盗んできたあなたなら、その「学ぶ姿勢」が必ず活きてきます。
理由② 関係者との板挟み…調整業務の難しさ
発注者からは「もっと早く」、職人さんからは「そんなの無理だ」。様々な立場の人の間に立つ調整役は、精神的に疲れることもあります。

この仕事の難しさは、現場作業そのものよりも、関係者との調整業務にあると感じます。発注者である施主、設計事務所、元請けのゼネコン、そして実際に作業をしてくれる職人さんたち。それぞれの立場や要望が異なるため、まさに「板挟み」状態です。「施主の要望に応えたいが、予算や工期が厳しい」「設計図通りに進めたいが、現場の状況で納まらない」といった問題は日常茶飯事です。全員が納得する落としどころを見つけるために、粘り強く交渉し、時には頭を下げてお願いすることも。精神的に疲弊することも多いですが、この調整がうまくいき、多くの人が関わるプロジェクトが無事に完了した時の達成感は格別です。コミュニケーション能力が最も試される仕事だと思います。
【乗り越え方】 こここそ、あなたの出番です。職人さんの気持ちが分かり、現場のリアルを知っているあなただからこそ、机上の空論ではない、血の通った調整ができます。「佐藤さんの言うことなら…」と、双方から信頼される調整役になれる可能性があります。
理由③ 工期やトラブル対応による残業(月30~60時間が目安)
工期の遅れや予期せぬトラブル対応で、どうしても残業が増える時期はあります。一般的に月30〜60時間程度の残業が発生するケースが多いです。

残業は正直多いですね。特に工期が迫ってくると、月の残業時間は平均で45時間ほど、繁忙期には60時間を超えることもあります。天候による工程の遅れや、予期せぬ機材トラブルが発生すれば、その対応のために夜間や休日に現場へ駆けつけることも少なくありません。家族との時間が犠牲になることもあり、体力的にきついと感じる瞬間は確かにあります。しかし、この仕事は社会のインフラを支えるという大きな使命があります。困難なトラブルを乗り越え、チーム一丸となって工期内に設備を完成させた時の安堵感とやりがいは、何物にも代えがたいです。苦労した分、無事に稼働したプラントを眺めるときの感動はひとしおですね。
【乗り越え方】 ですが、安心してください。2024年4月から法律が変わり、建設業界でも残業時間の上限が厳しくなりました。以前のような「際限のない残業」は過去のものとなり、業界全体で長時間労働を減らす動きが加速しています。段取りの工夫や経験を積むことで、仕事をコントロールする力は着実に身につきます。
それでも選ばれる!設備施工管理のやりがいと魅力
大変な側面はありますが、それを上回る大きなやりがいと魅力がこの仕事にはあります。ここでは、あなたの未来を明るく照らす、設備施工管理ならではの魅力を3つご紹介します。
魅力① 建物が完成した時の大きな達成感と誇り
多くの人をまとめ、様々な困難を乗り越えて、自分が関わった巨大な建物が完成した時の達成感は、何物にも代えがたいものです。自分の仕事が「地図に残る」、その誇りは一生の財産になります。
魅力② 人々の生活を支えているという社会への貢献
あなたが管理した設備が、その建物で暮らす・働く何千、何万という人々の快適で安全な毎日を支えます。「自分の仕事が社会の役に立っている」という大きなやりがいを、日々感じることができます。
魅力③【重要】体力勝負から解放される働き方
そして、体力的な不安を抱えるあなたにとって、これが最大の魅力かもしれません。
夏の炎天下や冬の極寒の中での作業は、もう終わりです。天候に左右されにくい屋内の現場事務所で、あなたの知識と経験を活かして指示を出す。そんな、体ではなく頭脳で勝負する働き方へシフトすることができます。
未経験から設備施工管理になるには?【武器と資格の話】
「自分は未経験だ…」と不安に思う必要はありません。この章では、あなたの現場経験こそが最大の武器になる理由と、その武器をさらに強くするための資格取得について、成功へのロードマップを具体的に示します。
まずはこれを取れ!キャリアアップに直結する資格5選
キャリアと年収を上げるために、資格は非常に有効です。まずは実務経験を積みながら、2級の取得を目指せるこれらの資格がおすすめです。
資格一覧 |
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2級管工事施工管理技士 |
2級電気工事施工管理技士 |
消防設備士 |
第2種電気工事士 |
給水装置工事主任技術者 |
これらは、あなたの専門性を示す何よりの証明書になります。会社によっては資格取得のための支援制度もあるので、積極的に活用しましょう。
実はコミュニケーション能力が一番大事?求められるスキル
PCスキルに自信がない、と不安に思っていませんか?もちろん、書類作成などでPCは使いますが、それ以上に大切なスキルがあります。
それは、現場で培った「共通言語」で話せるコミュニケーション能力です。
職人さんの気持ちが分かる。現場の専門用語が理解できる。だからこそ、机上の空論ではない、信頼されるコミュニケーションが取れるのです。これは、PCスキルが高いだけの人には決して真似できない、あなただけの強みです。
施工管理への転職におすすめの転職エージェント
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まとめ:体力勝負の毎日から、知識と経験で勝負する未来へ
あなたの未来は、あなた自身の一歩で変えることができます。体力的な不安に怯える毎日から、10年間の知識と経験で勝負する、誇りある未来へ。
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